〒130-0013
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男女間トラブル
1 不倫・不貞問題
(1)不倫・不貞行為とは
不倫とは、既婚者が他の異性と恋愛関係になることをいいます。
不貞行為とは、法律用語であり、既婚者が夫婦間の守操義務に違反して、自由な意思にもとづいて配偶者以外の異性と性的関係をもつことをいいます。
また、不貞行為は、法律上の離婚事由であり、婚姻を継続しがたい重大な事由として離婚を認められる要件にもなります。
(2)不貞行為と慰謝料請求
夫婦には、お互いに守操義務があるため、不貞行為を行った配偶者は、自分の配偶者に対して不法行為責任を負い、損害賠償の支払義務を負います。また、不貞行為を行った配偶者の相手方(不倫相手)も、共同不法行為者となり、損害賠償の支払義務を負います。
(3)不貞行為の慰謝料の相場
不貞行為を行った配偶者ないし不倫相手に慰謝料を請求する場合、その金額には明確な基準がありません。したがって、示談・和解などによって当事者双方が合意するのであれば、慰謝料の金額は、原則として自由です。
他方、裁判などで争った場合、多いのが50万~300万円程度で、不貞行為に際し、自分の配偶者と不倫相手のどちらが積極的であったか、不貞行為の結果、夫婦が離婚をする事になるのか、不貞行為で子供が出来たのか、等が考慮されます。一般的に、不貞行為が原因で離婚に至った場合の方が、慰謝料の金額は高くなります。
ただし、不倫相手の賠償責任は、自分の交際相手が既婚者である事を知っていた事が前提であり、不倫相手に未婚者だと偽って行為に及んでいたなどで、不倫相手が、交際相手が既婚者である事を知り得なかった場合には、損害賠償請求はできません。
(4)不貞行為の証拠
不貞行為で損害賠償請求をするには、不貞行為の事実を立証する証拠となるものが必要です。
例えば、写真・ビデオ、ICレコーダーなどの音声記録、メールなどがよく使われる証拠と言えるでしょう。また、友人、関係者、探偵社・興信所などの第三者の証言、不貞行為を認める手紙やメモ、日記、宿泊施設で支払ったクレジットカードの明細なども証拠となります。ただし、注意をしなければならないのは、その証拠の集め方です。
例えば、証拠としてメールの履歴を使う場合、勝手に他人のIDやパスワードを利用してメールボックスなどにアクセスをすると、夫から訴えられれば不正アクセス防止法に問われる可能性があります。
また、メールなどは改変が容易なため、証拠能力を問題とされる可能性がありますが、他に決定的な証拠となるような物が無い場合には有効です。
なお、メールを証拠として提出する場合は、内容を印刷するより、デジカメなどでパソコンや携帯電話ごと撮影したほうが証拠としての信頼性が高くなります。
(5)性交渉のない浮気の場合
例えば、配偶者が別の異性と腕を組んで歩いていたり、食事をしていただけで、性交渉が無かった場合には、離婚の理由や損害賠償請求の対象とはなりません。
例え、夫が密かに別の女性とデートをしていたとしても、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にはならないので離婚理由にはなりませんし、損害賠償の対象として認められるには、貞操権の侵害の事実がなければならない以上、請求はできません。
2 ストーカー問題
(1)ストーカーとは
ストーカーとは、特定の人に執拗につきまとう人のことをいい、つきまとい行為を「ストーカー行為」「ストーキング」とも言います。
(2)ストーカー規制法
政府は、「桶川ストーカー殺人事件」を契機に、平成12年にストーカー行為等の規制等に関する法律(通称、ストーカー規制法)を制定し、これによって、ストーカー行為に対する規制と処罰、被害者に対する援助等が定められました。
この法律で定められたストーカー行為とは
・住居、勤務先、学校その他通常所在場所でのつきまとい・待ち伏せ・進路立ちふさがり・見張り・押しかけ
・監視している旨の告知行為(行動調査など)
・面会・交際・その他義務のないことを行うことの要求
・著しく粗野な言動・著しく乱暴な言動[
・無言電話、連続した電話・FAX・メール
・汚物・動物の死体等の送付等
・名誉を害する事項の告知等
・性的羞恥心を侵害する事項の告知等
といった行為を、反復・継続して行うこととされています。
ストーカー行為に対して、警察はストーカーに対し行為を止めるよう警告します。
警告に従わずストーカー行為を止めない場合には、都道府県の公安委員会が禁止命令を出し、もしそれに従わない場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
(3)ストーカーへの対処法
ストーカー被害は、年々増えており、2013年に警察が認知したストーカー被害は、21,089件で、はじめて20,000件を超えました。また、ストーカーの被害者の約9割が女性で、事案の半数以上は、元交際相手からのものです。元配偶者や知人・友人などを含めると、実に9割以上が親しい関係にあった者からの被害となっています。
このような現状では、女性はいつでもストーカー被害に遭う可能性があるといえるでしょう。
では、実際にストーカー被害に遭ったら、どのように対処したらよいのでしょうか。
まず、自分自身で対応するのは大変危険です。きちんと話せば分かってもらえると思って、説明して理解を求めようとしたり、誰にも迷惑をかけたくないと自分だけで穏便に解決しようと、相手方との接触や交流を繰り返すことで、相手方の感情をエスカレートさせてしまい、かえって厄介な問題に発展する危険が高くなります。ストーカーは、理屈が通じず、身勝手な行動を行うから、ストーカーなのです。
もし、ストーカー行為を繰り返され、身の危険を感じるようであれば、すぐに警察に相談をして下さい。つきまとい等の行為の被害を受けている者は、警察に「援助の申し出」や「警告の申し出」を行うことが出来ます。
また、相手の素性がわかっている場合、弁護士から「警告書」を出してもらうのも、有効です。
相手の素性がわからない場合には警察に相談して自宅周辺のパトロールを強化してもらうようにします。
(4)証拠の保存
ストーカーに対する警告を発するには、ストーカー行為をされているという証拠を提示する必要があります。
ストーカーからのメールは削除せずに保存しておき、また、電話などの内容も録音しておいた上で、架電記録をつけておくとよいと思います。また、いつどこでなにがあったかがわかるような日記をつけておくのもよいでしょう。
(5)ストーカー行為に対する損害賠償請求
ストーカー行為は、不法行為に当たるため、民事訴訟において損害賠償請求をすることが可能です。
例えば、ストーカーが職場に電話や待ち伏せを行ったために仕事に行けなかった、または仕事を辞めざるをえなかった場合や、ストーカー行為のせいで精神的に追い込まれ病院通いに至った、自宅付近での待ち伏せや監視のせいで引越しを余儀なくされたなど金銭的被害や精神的被害を被った場合などです。
病院の領収書や交通費、引越しに掛かった費用の領収書、仕事を休んだ、辞めてしまった、といった場合には給与明細を取っておいて、相手に請求する際の証拠とします。
3 ドメスティック・バイオレンス問題
(1)ドメスティックバイオレンスとは
ドメスティック・バイオレンス(略してDV)とは、夫婦(内縁や元夫婦も含む)や、恋人同士など近親者間における暴力のことをいいます。なお、DVには肉体的暴力のみならず、精神的暴力、経済的暴力、社会的暴力、性的暴力も含まれます。
(2)DV被害に遭ったら
DV被害は、年々増えてきており、2013年に警察に認知されたDV被害件数は、49,533件にも上りました。
DV、特に肉体的DVは、暴行罪、傷害罪になるため、もしDV被害に遭った場合は、警察に相談することを考えましょう。
また、DVは、民法上も不法行為となり、被害者は加害者に対して、治療費や慰謝料などの損害賠償を請求する事が出来ます。弁護士と相談し、最善の方法を見つけてください。
(3)DVの証拠
DVは、家庭内という閉鎖的な空間で行われるため、客観的な証拠に乏しいことが多く、病院への通院すらしていないケースもあります。
また、加害者の側が悪いことをしたという自覚に欠けることも多くみられます。
そのような場合であれば、何らの証拠も揃っていないままで請求したところで、応じてこない可能性が高くなります。
そして、警察に相談しても、客観的な証拠がない限り、事件として取り合ってもらえない危険も高くなります。
そのため、診療明細や診断書、写真、などの客観的な証拠を保全しておくことは、とても重要です。
DVの証拠の具体例
・病院の診療明細や医師の診断書
・暴言や暴力行為の様子を撮った動画、録音、等
・ケガをした状態を写した写真
・脅迫といえる内容のメールや会話の録音
・DVの詳細が書いてある日記
・警察への通報や相談に行ったことの記録
(4)DV保護法
正式名称は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」といい、平成13年に施行されました。これは、DV被害者の救済や保護を目的とするもので、DV被害に遭っている人は、各地の配偶者暴力相談支援センターや警察に対して、相談や援助、保護を求めることが出来るほか、裁判所に保護命令の申立てを行うことができます。
(5)肉体的暴力以外のDVについて
DVには、「肉体的暴力」と「精神的暴力」があり、肉体的暴力以外のDVとしては、
・精神的暴力…罵詈雑言を浴びせる、服従を強要する、侮辱する、無視するなど
・性的暴力…性行為の強要、避妊に協力しないなど
・経済的暴力…生活費を与えない、働くことを禁止する、収支について厳しくチェックするなど
・社会的暴力…交友関係を監視する、外出を禁止するなど
があります。
これらのDVは、肉体的DVとは異なり、表面化されないために、エスカレートしたり、被害者が自分が悪いのだと洗脳されてしまったり、深刻な問題に発展することもあります。
4 セクハラ問題
(1)セクハラとは、いわゆる「性的嫌がらせ」のことをさし、「一定の社会的関係を利用して行われる、相手方の意思に反する性的な言動」とされます。
ポイントは「相手の意思に反していること」です。
セクハラは、男性から女性に対するものが大半ですが、女性から男性、女性同士、男性同士の場合でも、セクハラと認められています。
(2)セクハラの種類
セクハラには、以下の二つの種類があります。
ⅰ)対価型セクハラ
職場や学校などにおける地位、立場、権限などを利用し、下位にある者に対する性的な言動や行為を行う(強要する)こと。
・学校で、教師としての立場を利用して、教師が学生(または学生側の者)に、猥褻行為・性行為・愛人契約の強要すること
・就職活動で、利害関係を利用して、求人側の担当者(または求人側の関係者)が求職者(または求職者の関係者)に、性行為や猥褻行為の強要すること。
・職場で、職務上の立場を利用して、上司(または上司側の関係者)が部下(または部下側の者)に、猥褻行為・性行為・愛人契約を強要すること。
・商取引で、利害関係を利用して、買い手側の関係者が売り手側の関係者に、猥褻行為・性行為・愛人契約を強要すること。
ⅱ)環境型セクハラ
職場で働いたり、学校で学んだりする環境を害するような性的嫌がらせのこと。
・トイレや休憩室、他の従業員の前などにおける本人及び他人を含めた容姿や恋人関係などに関する噂話。
・職場や学校、商業施設などで、ヌードカレンダー、水着ポスター、ポルノ雑誌、お色気漫画など、人によっては不快感を起こすものの掲示や陳列、性的な冗談、容姿、身体などについての会話。
・恋愛経験や貞操ついて執拗に尋ねる。
・バストや性器のサイズなどについて聞く。
・慰安旅行での旅館・ホテルなどでの女性への浴衣などの着用の強要。酌の強要。
・性的魅力をアピールするような服装やふるまいを要求する。
・女性上司から男性部下への誘い。
(3)セクハラへの対処法
まずは、事情を整理し、証拠を集めるためにも、被害を受けた日付、場所、加害者、言動・行動、周囲にいた人などについて、出来る限り詳しいメモを残してください。また、セクハラは「相手の意思に反していること」が重要ですので、ハッキリ拒絶することが大事です。曖昧な態度で接していると、「嫌そうには見えなかった」「合意の上だった」などと言われてしまう可能性があります。周りから見ても嫌がっていることが明らかにわかるように、はっきりとした態度を取ることが肝心です。
さらに、一人で対処するのが難しいような場合には、周りに相談し、同じ悩みを持つ人を探してみましょう。上司や高い役職の人に、相談してみるのも手です。ただ、相談したことが加害者の耳に入り、さらに事態が悪化するというような二次被害を避ける為にも、その人が信頼できる人間かどうかの見極めが重要です。
周りにそういった人がいない場合は、第三者機関に相談するのも、よいと思います。例えば、労働基準監督署には相談窓口があり、メールなどで相談を行えます。他にも、セクハラやパワハラの相談を行っている機関がたくさんあるので探してみましょう。
また、専門家に相談し、セクハラ加害者に対し、警告書を送るのも一つの方法です。加害者だけでなく、就業先にも通告しておくことが有効です。セクハラの実態を知りながら対処をしなかった場合は、就業先も処罰の対象となる為、なんらかの対応をしてくれる可能性があります。
これらの方法をとってもなお、加害者がセクハラ行為を止めない場合は、最終手段として、慰謝料の請求や、刑事処罰を与える為に、訴訟を起こします。ただし、この場合は、弁護士に相談するのが得策です。
(4)セクハラ慰謝料の相場
セクハラ慰謝料は、原則として、当事者間の場合であれば、双方が合意をする限り、いくらの金額であっても自由です。
一方、当事者間での話し合いがつかず、裁判になった場合には、そのセクハラ行為の内容や程度、反復性、性行為の有無、精神疾患や自殺未遂の有無、および当事者双方の地位や立場、退職の有無、など、様々な事情が考慮され、下は20~30万円から、上は1000万円まで、事案によって大きな差があります。
なお、性行為にまで至っていない事案は、慰謝料100万円以内が大半です。
性行為にまで及んでいる場合には、100万円以上が大半で、反復継続していたり、危害のおそれを伝えたり職場での立場を利用するなどの悪質性が高いものについては、高額化の傾向にあり、800万円~1000万円を認めた裁判例もあります。
また、セクハラによって退職にまで追い込まれた場合、慰謝料の他に、本来であれば得られたはずの賃金相当額を逸失利益として、上乗せして認められることもあります。
さらに、セクハラ行為が、会社の業務遂行の中で行われた場合は、就業先に対しても、損害賠償の請求を出来る場合があります。
企業には、労働契約に基づき、労働者に対する「職場環境整備義務」と「安全配慮義務」がありますので、セクハラ防止などの義務を怠ったことによって被害が生じた場合には、債務不履行責任及び使用者責任を負います。
上記の場合、セクハラの加害者と使用者の責任関係は、不真正連帯債務といって、被害者は、加害者に対しても、使用者に対しても、または両方に対してでも、損害の全額について賠償請求をすることが出来ます。
事件の流れ
相手方の住所調査が必要な場合、通知書発送までに時間がかかる場合があります。